パラブーツ ミカエルを購入

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連続でパラブーツ記事。最近ミカエルを買った。どうにも仏靴が好きらしい。パラブーツといえばリスレザーであり、リスレザーの紹介文には「リスレザーというのはリスの革ではなく牛革の一種であり云々」という説明書きが必ずといっていいほど入るが、私のように実際リスの革だと思い込んでいた人間にとっては実に親切だと思う。

 

パラブーツというブランドの靴の中で一番最初に知ったのがミカエルだった。当時は「ハハーン、リスレザーと書いてはいるが、アッパーのほとんどは牛革で、甲の部分の毛皮にリス革が使われているんだな」とガリレオも真っ青な考察を展開していたが、毛皮部分はアザラシだった。ミカエルは種類が多く、特に毛皮付きのモデルはアザラシだのウサギだのその他諸々の動物が使われており、モデル名も変わるのだが、その名前がいちいちオシャレで分かりにくい。いっそのこと「アザラシのミカエル」「ウサギのミカエル」「ミンクのミカエル」みたいに平易に表してくれれば分かりやすいのに、と思った。

 

モーリタニアでは姓が「モハメド」の人がかなり多いらしく「モハメドさん、ちょっと」と呼びかけると多くの人が振り向いてしまうので、「大きなモハメド」「小さなモハメド」「ヒゲのモハメド」「コックのモハメド」等々、実に分かりやすい呼び分けがされていると聞く。パラブーツも私のような阿呆のためにそのシステムを導入してはどうか。フォックとかポニーとか難しいんですよね。

 

さて、その呼称システムが導入された暁には「毛なしのミカエル」というモデル名で売られていそうなパラブーツハメド、じゃなくてミカエルを此度購入した。梅雨だし。雨用の黒い靴を実は持っていなかった。ブランドストーンもありだったが結局パラブーツにした。

 

 

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「ミカエル」と聞くとハリウッド版『ドラゴンタトゥーの女』でダニエル・クレイグ演じる「ミカエル・ブルムクヴィスト」を思い出す。キャラクターとしてのミカエルは知的かつどこか可愛げのある人物だったが、靴のほうのミカエルも似た雰囲気を持っていると感じる。元々は登山靴だそうだから、知的というよりは実用靴の類いなのだが。ヨーロッパ圏の名前が英語でジョージ、ドイツ語でゲオルグ、イタリア語でジョルジョ、スペイン語でホルヘ、フランス語でジョルジュと変わるように、英語でマイケルなこの靴はフランス製なのでミカエルなのであった。映画『誰よりも狙われた男』で「ミヒャエル」という男が登場する。ドイツが舞台の映画だから、字幕上では「ミヒャエル」表記なのだが、主演であるフィリップ・シーモア・ホフマンがミヒャエルを呼びつけるときの発音がどう聞いても「マイコー!」で笑ってしまったことを思いだした。

 

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全く靴に関係のない話題で1000文字近く使ってしまったので、話題を靴に戻す。リスレザーやブライドルレザーにはブルームと呼ばれる白っぽい粉が噴き出す特徴がある。靴オタクの人々の間には、ブルームを見かけると喜々としながら「ブルーム、ブルーム」と絶叫しながらこの白い粉を有り難がるという、危険かつ奇妙な風習が蔓延していることはもう何度も述べてきた。今回購入したミカエルにはあまりブルームは付着していなかったが、試着の際に履いた、ワンサイズ上のミカエルはブルームがびっしり付いており、黒というかグレーの靴になり果てていた。それを持ってきた店員は「ブルームが、すごいですねぇ・・・」と怪しい笑みを浮かべており、「この人はこの後よなよな箱を開けて、びっしり付いたブルームをコテでそぎ落とし、小瓶に保存して恍惚の表情で眺めたりするんではなかろうか、さっき俺が試着したミカエルは次の人が試着するときには普通の黒いミカエルに戻っているのではなかろうか、というか俺が今購入しようとしているあまりブルームのついていないミカエルもそういう過程を経てブルームをこそぎ落とされた後なのではないか」という意味不明な妄想をしながら試着をしていた。

 

 

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ブルームは除去するのではなく、ブラシで革に擦りこむのが良いとされているため、それに倣ってスリスリした。写真を見比べると僅かに白っぽさが無くなっているのが分かる。ほんとに僅かだが。

 

 

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恒例のドアップ写真。細かい表情を移すときにはマクロレンズは重宝する。タムキュー。中古だと安いしあると便利。リスレザーは拡大すると結構表面がデコボコしている。アスファルトみたいですね。

 

 

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プレメンテ後の全体。ほとんど変わりなし。この後ヒモの金属セルはめちゃくちゃどこかに飛んでいきました。

 

 

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使ったのはこの辺。というかこれしか持っていない。

 

 

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新品なのでピスネームも当然綺麗。靴の購入記事を書くときに毎回思うのだが、冒頭で書きたいことをほとんど書きつくしてしまうため、後半になるにつれて書くことがなくなる。靴の写真を載せて「これは靴です」というくらいしか書けなくなる。

 

 

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これはケツ!

 

 

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袋ベロ!雨に強いとされる仕様の一つ。

 

 

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アヴィニョンと比較するとインソールの色の違いがよく分かって面白い。

 

 

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リスレザーは新品状態だとマットな質感だが、モカの部分は張りが強いためよくツヤが出る。この仕様だとモカ割れを気にしなくても良いので気楽ですね。

 

 

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ミカエルはヘビロテして早くアヴィニョンみたいに表情を出していきたい。

 

 

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生成り上着にカーキのパンツが良く会う気がする。これなら件のBBQに出かけて行ってもセーフでしょう、多分。黒靴はウェストンやフローシャイムを所有しているが、ドレスすぎたりゴツすぎたりするので、使い勝手のいい黒靴が手に入りワクワクしている。7月の連休に早速履いていくことにする。イエーイ。