パラブーツ アヴィニョン 3年履いての感想

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左足の方が羽根が閉じている。僕は左の方が甲高なんですかね。初めて気づきました、hahaha。過去に書いたアヴィニョンの記事は当ブログの中でも一番アクセスが多く、雀の涙ほどのアクセス数を支えてくれている頼もしい記事なのだが、改めて読み返すとグダグダさ加減に嫌気がさしてくる。ブログを書き始めて間もない頃だったから、まだスタイルも確立されておらず、「何か面白いことを書いてやろう」という魂胆が透けて見えて、好きな女子を前にして大きな声でつまらないことを言ってしまう中学生を見ている気分になる。

 

一時期は「パラブーツ アヴィニョン」で検索すると最上位に表示される記事だったのだが、最近は順位が下がっていた。6~7番目に落ちたくらいなのだが、アクセス数は激減した。SEOは怖い。今回はテコ入れを兼ねて、ちょうど買って3年が経つというタイミングでもあるので、再びアヴィニョンに登場願うことにした。

 

情報のアップデートをするべく、過去にはどんなことを書いたか確認するために、イヤイヤ旧記事を読んでみたが、諸紳士のためになる情報なんて崇高なものは影も形もなく、ただの焼け野原が広がっていた。ブログの書き方のスタイルは変わったつもりだったが、役に立たないことは変わっていなかった。この記事を書いた当時は「とりあえずパラブーツの歴史に触れるとかありきたりなことはつまらないから、俺にしか書けないものを書こう」と息巻いていて、自分なりの工夫でアヴィニョンの良い所と悪い所を書いたことを思いだした。それはいいとして、「まず悪い所を指摘して、後で良い所を褒めてあげましょう」という謎の上から目線が良くない。「購入を検討している人の後押しになれば」と思ってのことなのだろうが。普通に自分なりのエピソードとか入れればいいじゃん、それでカッコいいじゃん、と過去の時分に説教しそうになったのだが、よく見るとそういう類いのエピソードも用意されていた。やるやんけ。

 

ただそのエピソードというのが、「私はこの靴で東南アジア諸国を駆け回りました、靴を見ると今でもナンプラーの強烈な臭い、そして時が止まったようなメコン川の情景が思い起こされます」「私は第2週の土曜日には必ずこの靴を履いて、フレンチビストロのランチでガレットを食べています」というカッコよかったり、オシャレなものでは全くなくて、「イソメの体液を塗り込む」だの「足が当たって痛い部分を殴って矯正させる」だの猟奇的なものばかりで、一般的な感性を持っている人なら、参考にならないだろうし、したくもないだろう。書いている内に検索順位が下がってきた理由が分かってきた気がする。

 

訳の分からん珍妙な話を持ち出しただけでなく、「悪い所から書く」だなんて随分ひどい記事だった。

 

反省してまーす に対する画像結果

 

 

 

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東南アジアどころか日本国内から一歩も出たことがないし、ガレットも人生で4回くらいしか食べたことがない(そこそこ好き)が、この靴を3年間でそれなりに履いてきたことは事実だ。20年モノだというアヴィニョンのエイジングサンプルをインスタグラムで見たことがあるが、それはそれは格好良かった。色も抜けており、履きジワもかなり入っていたが、手入れはちゃんとされていて、唯一無二な表情だった。それを目指して、一時期は「手入れはするが最低限に留め、できるだけ自然な表情に仕上げていく」というオージービーフ生産者のような方針を打ち立てたのであった。「ラフに履こう」と思うと、不思議と歩き方もガサツになり、あちらこちらに靴をぶつけ、傷だらけになった。『クローズ』を読んだ後に自分が強くなったと錯覚し、大手を振って街を練り歩く男子中学生のようだった。

 

 

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リスレザーは決してきめが細かい革ではないと思うが、磨けばそれなりにツヤが出るし、何より傷を気にせず歩けるところが良い。過去記事で夜行性のサルのように目を真っ赤にして指摘した「悪い点」の中に、「足の小指が削れて痛い」と書いていたが、それは靴が原因ではなくて、小指の皮膚が集積して形成された副爪のせいだった。プラモデル用のニッパーで副爪を除去したら嘘のように痛くなくなったのであった。

 

「インソールが沈まない」問題も、「小指が痛い」問題と無理やり紐づけたようなもので、底が沈まないからいつまで経ってもこんなに痛むんだ、と決めつけていた。痛みは上述のように副爪によるものだったし、インソールは今も沈まないままだが、痛い部分は全くないし特に不都合はない。「作りが粗い」というアホみたいな指摘に関しては、それも含めて「そういう靴」なんだと理解できる器量が当時はなかったとしか言いようがない。

 

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件のインソール。だいぶ飴色になった。あんまりそういう意識はなかったが、最近買ったばかりのミカエルと比べると一目瞭然だった。

 

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インソールの踵部分はだいぶダメージが入っており、障子みたいなことになっている。穴が開かない内に修理に出した方がいいのだろうが、面倒なので放っている。都合の悪いときには「自然の成り行きにまかせる」というオージービーフ理論を適用すれば全てが解決してしまうのだった。オージービーフが実際にはどんな具合で管理されているかは全く知らないのだが。

 

 

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さすがにヒールも削れてきたが、3年間そこそこの頻度で履いた割には減りは少ない。このラバーソールは素直に素晴らしいと思う。歩き方が悪いのかトップリフトはいつも音速で削れてしまうが、パラブーツだけは違った。20年後には「RP教」とかいう新興宗教を立ち上げてしまいそうなくらいに気に入っている。

 

 

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思考停止で靴クリームを塗ったくっていた頃の弊害で、ピスネームは黒ずんでいる。洗えば綺麗になるのだろうが・・・。俺は・・・俺はな・・・。オージービーフなんだよ・・・。

 

 

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純正の靴紐は気に入らなかったため、紗乃織靴紐に変えていたが、金属セルがどこかに逃走し、今世界のどこで何をしているのか全く分からない。呼び戻そうにも連絡先を交換していなかった。石目蝋引きの紐の表情は気に入っている。紐自体はほどけにくいし素晴らしいのだが、如何せんセルが余りにもとれやすい。なんとかならないものか。先日ミカエルを買ったときに、例の如く紐が気に入らず新調した。紗乃織靴紐は高いので、修理屋さんに切り売りの紐を用意してもらったのだが、買って2日でセルが吹っ飛んだのであった。もう何も信じられなくなってきた。

 

 

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さて、2年後にこの記事を見返したときに「またコイツはオージービーフだのワケの分からん事を書きやがって」と嫌気がさすのが目に見えるような仕上がりになってしまった。パラブーツ、良いと思います。痛くても履いてりゃなんとかなるし。アヴィニョンはあまり見かけることもないし、被ることもないと思う。見た目による守備範囲も広いし、雨にも強いので、旅行のときなんかよく活躍する。一足持っていても損はしないかと。