オーダーシャツ失敗談

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テーマにあった写真が無かったため、苦し紛れにBRITISH RAILのジャケット。秋は上着が羽織れるようになるので気分が良くなる。仕事の外回りでもダラダラ汗をかくことがなくなると思うと気が楽だ。スーツは安物を使いまわしていたので、かなりヨレてしまった。2着をオーダーで作った。安く済ませようと思っていたのだが、予算をかなりオーバーしてしまった。オプションは怖い。

 

オーダーしているときにふと思い出したのが、過去にシャツをオーダーしたときの失敗談だ。大学2年生のとき、シャツにハマって1シーズンに何着もシャツを買った。チェックとかストライプの簡単な柄が入ったものが好みだった。そのころに、「20代でも背伸びしてイイもの買っちゃいたいッすよね?イエーッ」みたいな雑誌が売っていて、それに掲載されたギャルソンのシャツが、全身から色んな汁が出るくらいにカッコよかった。ただ、4万円ということで貧乏学生にはとても手の出るものではなかった。

 

いつかは欲しいなあ、と思っているところに、格安オーダーシャツなる存在を知る。ネットで注文が完結するので、楽。サイトにアクセスし、生地を物色していると、件のギャルソンシャツにそっくりな生地を発見した。ギャルソンの海賊版を自ら誂えようということになった。誂えというほどのものでもないか。

 

意気揚々と襟の形、前立ての仕様、カフスの形なんかを決めていった。難しかったのが、各部のサイズ決め。着丈や袖丈、首周りなど、全てをこちらで指定する必要があった。仕事でシャツを着るようになってからは自分のサイズを把握できているが、学生当時はシャツの細かいサイズなど知らなかった。ダイソーでニコニコマークのついたメジャーを買ってきて、ネットで調べながら拙い手つきで自分のサイズを測った。海賊ギャルソンをオーダーするにあたり、どことなくフランスらしさを感じられるような仕様にしたかった。当時、ない頭を絞ってフランス考えたときに脳からビチャビチャと滴り落ちた赤・青・白のヘンな液体をじっと眺めていると、「とにかくスリムなタイトシャツにしなさい」と天からの啓示を受けた。恭しくウエストを測ったあと、計測値とほぼ同じ数値を入力し、オーダーデータを送信した。

 

2週間後、シャツが自宅に届いた。驚愕した。珍妙な形のシャツが届いた。イメージでは銀縁の丸メガネを掛け、週末は浅煎り珈琲の美味い喫茶店で本を読み、家に帰ると常備しているペリエを飲んでいそうな男が来ているスリムなシャツだった。到着したのはウエスト”だけ”がやたらと絞り込まれた奇形のシャツだった。オーダー表にはウエストのサイズと裾周りのサイズがあって、今思えば怪しい啓示を受けた俺はウエストのみサイズを絞り込み、裾は初期値のままにしていたのだった。結果的に、上半身だけでAラインが解決している、上半身だけでワンピースやってます、という具合のワケの分からない服みたいなゴミが出来上がった。

 

恐る恐る着用し、姿見で確認すると、そこには確かな変態が仁王立ちしていた。シャツ工場の人も「どこのバカが着るんだろうな」と思いながら作業したに違いない。

 

以来、億劫になってネットのオーダーは利用していない。サイズをもう一度しっかり確認してから、また利用したいとは思う。安いし。フランスをイメージしてスリムシャツにする理屈もよく分からないし。サンリミットのシャツが欲しいけど、高いので無理。デーン。