MARVELFAIRSの靴

私は基本的に伝統と自然を愛する感受性豊かなジェントルマンなので、仕事が終わった後はRDR2をプレイして疲れをとっている。最初の文章から色々破綻しているが、疲れのとりかた、日々の癒しというのは当然、十人十色であり、私の場合は前述のようにゲーム(RDR2、ウィッチャーに限る)、古い時代設定の映画を観る(読書も然り)、キャンプ動画を観る、などが挙げられる。

 

風呂だとか運動だとかの”ストレス発散”として王道な手段が含まれておらず、コンテンツの享受ばかりになっているのは、私の場合「ストレスを発散する」というより「あぁいいですねぇ、こういう時代、暮らしぶりはいいですねぇ」と自らが置かれている生活環境から目を背けて理想郷を思い描くという、一種の逃避になってしまっているからだ。あまり生産的とは言えない。

 

昔の時代というのに憧れがあるらしい。間違いなく現代の方がモノは豊かであり、本当に色々な点において便利な時代になっているはずだが、「ないがゆえの豊かさ」みたいな雰囲気を感じるというか、隣の芝生は青いというかなんというか。隣というか、過去だけど。ゲームをRDR2とウィッチャーに限っているのもそのためで、FIFAなぞやろうものなら選手を叱咤激励、もとい罵倒しながらプレイすることになるのでストレスが加速する。あぁでも、ウィッチャーにおいても農民は貧しすぎて木の皮のスープを食っている始末なので、あの時代に戻りたいとは思わないな。

 

RDR2は昔への憧れを加速させるのに十分すぎる作用を持っている。仕立て屋で買える服はどれもこれも格好いいし、キャンプに帰ってきたら用意されているシチューは美味そうだし、ホテルの風呂にはワインだのオイルランプだの一々洒落た雰囲気的な意味でのエロアイテムが多数配置されている。

 

疲れきった金曜にRDR2をプレイしていると、「ああ、こういうおおらかな時代に生まれて、特に難しいことを考えずに日々を生きて行けたらなあ」と思ったりする。しかしよく考えれば、というか考えずともRDRの主人公はギャングなので、流行りの異世界ものの如くこの時代に転生してしまったら間違いなく生きていけないのだが。金はないわ、まともな職はないわ(暴力団所属)、ボスは口を開けばやれ強盗だ、やれ殺人だ、俺たちは金を稼いで島へ脱出するんだとしか言わない。ストーリーは非常に面白いのだが、登場人物の主張をまとめると「殺せ、奪え、戻れ」の3語で完結する。お前らはどこのスーパーミュータントですかと問いたい。現実世界ではボスに言われることといえば「オウ数字どうなってんだ」くらいものだから、遥かにこっちの方がマシである。

 

しかしまぁ、いいところは取り入れようということで、最近キャンプ道具が少しずつ充実してきた。ナイフ、ランプ、スキレットとか。肝心のテントがありませんが。あと車も。ギャハハ!

 

スキレットは普段から使うことができるし、特に買ってよかったと思っている。ハンバーグとか美味しく焼ける。ハンバーグといえば、過去には「ナツメグとかいうお洒落スパイスは必要ありません。黒胡椒、黒胡椒、黒胡椒。」と、ブラックペッパー原理主義に則った主張をしていたが、試しにナツメグを使ってみると、これがもの凄く美味かったので、今では狂気の笑みを浮かべながらハンバーグのタネにナツメグを振り撒いている。スパイス全般が好きなのだ。

 

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収集がつかなくなってきたのでカミングアウトするが、本記事は本来、靴の紹介をする予定だった。「古い時代っていいですよね、私は60年代の英国製デッドストックシューズを格安で手に入れました」という話をしたかったのだが、どこで間違ったのか、というかそもそも私の脳の構造が間違っているのか、「私はスパイスが好きです」という話に帰着してしまった。以降は粛々と靴の写真を貼っていく。

 

 

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という訳でMARVELFAIRSというブランドの靴です。現行には中々ない色味です。いいんじゃないでしょうか。

 

 

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ガラスレザーなのか、塗料なのか、とりあえず塗膜がすごいです。まあでもお陰で多少の雨でも履けそうですね。いいんじゃないでしょうか。五十数年越しのケミカル臭がはっきりと存在を主張してきます。塗膜はところどころデコボコあり。そんなに高級なものではないかもしれませんね。

 

 

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しかしながらステッチの細かさや、ライニング、ソールを見ても良さそうな素材が使われている印象はありますね。いいんじゃないでしょうか。

 

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飾り釘の仕様なんかも現行品では中々見られませんね。あとこのソールなんですが、すごく目が詰まってましてね。最初はラバーと勘違いしましてね。すげー綺麗だって。クリーム塗るとものすごい勢いで水分を吸収するんですよね。お前は、ラクダか!って(満点大笑い)

 

いいんじゃないでしょうか。

 

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最後に全体のフォルムですね。なんというかね、内羽根プレーントゥというちょっと珍しい仕様と相まってね、独特の雰囲気がありますね。いいんじゃないでしょうか。

 

 

 

以上。明日から仕事である。全くもって良くない。作られてから半世紀以上経ったものが海を渡って私の手元にあると考えると少しワクワクする。職人はどんな思いでこの靴を作っていたのか。若い職人が「親方マジで〇ね」と怨嗟を込めて釘を打ち付けたのかもしれない。革の染色の段階では、塗料の赤茶を見て「昨日の朝のトマト、茹ですぎて不味かったな」と思ったところで手元が狂い、デコボコができてしまったのかもしれない。個人的に、コバインクがはみ出してアッパーに付着している箇所は、ガラス越しにねえちゃんのケツでも目で追いながら作業した所為だろうと推測している。